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事務局から

第38回日本エイズ学会にてポスター発表(報告者:竹野)

第38回日本エイズ学会にて「来日するHIV陽性者が治療を継続できるために必要なこと」というテーマでポスター発表を行い、有難いことに優秀賞をいただくことができました。

仕事や勉強のため日本に移住するHIV陽性者の中には制度の壁により治療の継続が危ぶまれる人がいます。CHARMはこのような人たちがこぼれ落ちてしまわないようにサポートをしています。
このテーマは今年6月のCHARMの総会や昨年度の20周年記念国内フォーラムでも取り上げてきました。今回のエイズ学会が、移住するHIV陽性者の抱える課題について理解を示し、またCHARMの実践について評価をしてくださったことに感謝いたします。

下記にて発表内容をCharmerのみなさまへ共有させていただきます。 


『来日するHIV陽性者が治療を継続するために必要なこと』 

【課題】
日本でHIV治療を継続する際の大きな課題は、医療費助成を受けるための身体障害者手帳の認定基準が国際的ガイドラインと合っていないことである。日本では免疫が下がり、状態が悪い検査データを提出することが求められる。
世界ではできるだけ早期に治療を開始しているため免疫状態の悪い検査データを持っていない人が多い。

【実践の内容】
2023年4月~2024年3月の間に日本で医療機関を受診するためCHARMに相談した人は21名だった。
この内、障害認定の基準を満たした人は13名(62%)、基準を満たさなかった人は8名(38%)だった。
8名が日本でHIV治療を継続した方法は「オンライン薬局から個人で輸入」が3名、「高額療養費制度を利用し、限度額を支払って医療機関で処方を受ける」が2名、「母国の病院に継続して処方してもらい、空輸してもらう」が2名、「治療を中断し、障害認定の基準を満たすのを待った」が1名だった。

【実践の評価】
障害認定の基準を満たした13名の内、5名は制度が利用できるまでに持参薬が切れ、2名は「母国の病院から特別に処方してもらい空輸」、2名は「高額療養費制度を利用して日本の医療機関で処方」、1名は「オンライン薬局から個人で輸入」で治療を継続した。
つまり、CHARMが医療機関受診の支援をした21名の内、スムーズに日本でのHIV治療に移行できた人は4割の8名に留まり、6割の13名は制度の壁によって治療の継続が妨げられたことが分かった。

2022年にCHARMが実施したアジア各国におけるHIV診療体制を知るためのフォーラムにおいても、HIV陽性が分かればただちに治療が開始される多くのアジアの国の診療体制と、治療開始前に免疫機能障害の認定を行う日本の診療体制の間には乖離があることが分かった。 

【結論】
CHARMで医療機関受診の支援をした人の6割は、日本でスムーズにHIV治療の継続ができていないことが分かった。その理由は、4割は免疫機能障害認定の基準を満たす過去の検査データを示すことができなかったからである。

日本以外の多くのアジアの国では、HIV陽性が判明した時点で抗ウイルス治療に対する公費負担が開始されている。
多くの外国人を受け入れている日本でも、国境を越えたHIV陽性者がスムーズに日本の医療機関での治療に移行できる体制の構築が求められる。

CHARMは、「HIV陽性」と診断された時点で「免疫機能障害」は固定しているとみなして身体障害の認定を行うことを提案する。 


この発表は、理事の松浦、白野、事務局スタッフの青木が協力して作成しました。 

【ポスター発表の内容】
第38回 日本エイズ学会にてポスター発表

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